ヨレヨレオジサンの新米映像プロデューサー日記

66歳の新米映像プロデューサーの徒然日記

映像は新たなオピニオンリーダーになれるか? その①

映像がオピニオンリーダーになれるかを考える前に、かつてオピニオンリーダーだった出版を取り上げてみたい。いまは斜陽産業の最たる業界。見る影もない。かくいう私も20年ほど前にサラリーマンを辞めて一人出版社を起業した。自費出版ではない。あくまでも出版社起業。自分で書いて、本にして、売る。他人の本も出した。結果は芳しくなく、今でも売れずに山のように残った本を見て、往時を思い出す。また、最初に書いた社会評論の原稿を知り合いの出版社の人に見せたら、私の原稿は社会への恨み辛みが満載で、怨念のようなものが乗り移って来そうだと言われて苦笑したのも思い出す。話を戻そう。出版業界はさまざまな問題を放置して、根本治療を怠ったせいでいまがある。販売代理店の問題は大きい。その失敗のつけを良本とは言えない本を年間10万冊近く出して返品の山を築く流れを止めなかった。また何十万部も売れる本はおかしいと思うが、そればかり狙っていた。なんだか、負け続けるギャンブラーが、大穴ばかり狙って文無しになるのとそっくりだ。そうして、かつてオピニオンリーダーだった地位を完全に失ってしまった。同時に、国民も、本を通して社会を考え、文化を考える場を失ってしまった。わずかに残る大逆転劇の可能性をわずかな期待で待つとしよう。失われた出版文化。